jnobuyukiのブログ

研究していて困ったことやその解決に関するメモ。同じように困ったあなたのために。twitter ID: @j_nobuyuki

社会科学の知見を社会に実装する

本日は研究の目標について考えてみたことを書きます。

研究者は何をする人か?

これは研究者によっても考え方に差があるものなので、私自身の考えで書きます。研究は科学のルールを使って「まだ誰も知らないことを明らかにすること」か「今の社会を改善、問題を解決」することだと思っています。特に「まだ誰も知らないこと」は問題の答えだけでなく、どんな問題があるかも明らかにすることを含んでいます。新しい発見があれば、または問題を解決する手法を見つければ「誰かが」それを利用して、社会を進歩させてくれるだろうというような見通しです。しかし、この「誰か」って誰なんだろうとふと疑問に思いました。

情報学の知見の社会実装

最近の情報学の研究者を見るとその「誰か」が「研究者自身」であると考えている人が多いようです。自分で開発した新技術を使ったサービスやプロダクトを自ら起業して、社会に浸透させていくのです。これに呼応しているのかはわかりませんが、政府系の大きな研究助成には、研究で得られた知見の社会実装が重要であると感じさせるコメントがちらほらみられます。近年の情報技術の革新のスピードはまさに日進月歩なので、ちょっと前まで大企業の大規模な設備でしか実現できなかったものが、個人でも実現できるようになっています。これは、研究で得られた知見を社会に実装する可能性も高めていると言えます。

研究者はどうやって研究の知見を社会実装すれば良いのか?

情報学以外の研究者だって、自らの研究で得られた知見を「誰かに」使ってもらえるまで待つのではなく、自ら社会に実装していく努力が必要になってきているのかなと感じています。ではどうやって、社会実装すれば良いのか。「仮説の検証」だけを考えてきた研究者にとっては新たな問題です。私自身が解決策になりそうだなと思っているのは「企業の力を借りること」だと思います。私は心理学の研究者ですが、心理学の場合、臨床心理学や産業心理学以外の分野はアカデミアに閉じこもる傾向があるように感じます。もっと企業の人たちに自らの発見をアピールする場(例えばビジネス向けの勉強会など)で話をして、どうやったら社会の改善に役立てられるかを相談してみら良いのではないでしょうか。企業の側も、アカデミアの先生が難しいことを言っていそうだと敬遠せずに、わからなければ「わからない」と言える関係を築けるように歩み寄って欲しいです。きっと互いにとって新たな方向性が見えてくるのではないかなと思っています。研究者としては、マインドセットを「仮説の検証」のみから「仮説の検証そして社会実装に向けた予測」に変えていくのが大事だと思います。