今回は、学校の授業や学術会議、講演会での質問について考えます。
みんな質問で悩んでる
この問題には本当にたくさんの人が悩まされているようです。「会議 質問」でウェブ検索すると、質問のコツを伝授してくれるサイトが読みきれない程見つかります。実際にいくつかのサイトを読んでみると、どんな言葉で話しかけると上手な質問になるのかについてありとあらゆるパターンが紹介されています。ただし、質問の仕方、方法はたくさん紹介されていても、質問の目的「なんのために質問するのか」について書いてあるものは見あたりませんでした。それどころか、いくつかのサイトでは「本当は質問がないけど、何らかのプレッシャーがあるので、どうしても質問しなければならないとき」に何を尋ねるかを考えています。確かにそういう場面は私にももあります。そんなときに特定の型の質問でお茶を濁せるならば、そうしたいと思うかもしれません。でも、これは質問に関して後ろ向きな捉え方になっていると思います。
質問は「何を」だけが大事?
それにしても、たくさんのサイトで「何を」質問するかが話題になるのに「なんのために」質問するかが話題にならないのは不思議に思えます。目的もなく当たり障りのない質問をすれば、何となく時間は過ぎますが、面白くはありません。その逆に、目的が明確な質問が出ると、普通の話がメリハリのついた面白い話に、最初から面白い話はもっと面白い話になると思います。では、質問にはどんな目的があるのかを整理してみましょう。
わからないから聞く場合
話し手(先生・発表者)の話の一部を聞き逃したときや説明がわからなかったときに、自分の理解を補ったり、確認するために質問します。わからなかったことがわかったら嬉しいですよね。このような質問は、話し手にも効用があります。話の中の分かりにくい部分が明らかになるからです。話し手は、次に同じ話題を紹介する時には、質問が出ないように話す内容や話し方を改善できます。
わかったから聞く場合
わかっているなら何も聞く必要ないじゃないかと思うかもしれませんね。でも、話を面白くするのは、実はこちらのタイプの質問です。話し手の言ったことを本当に理解できたとしたら、まだ分かってないことは何かを考えられます。例えば、話し手が話題にしなかった事柄と今聞いた話がどんな関係にあるのかや、自分が知っている知識を挙げて、今聞いた話題の関連性を尋ねることができます。もしも上手い関連性が見つかれば、最初に聞いた話の内容に広さや深さが加わるでしょう。つまり、このタイプの質問は、質問をした人、話し手、そしてその他の聴衆の方全体にとっての利益になります。話し手は、このような質問に答えながら、発表内容をより研ぎ澄ますことができるわけです。
このような質問の効用をもう少し考えてみましょう。ここで一番得したのは誰でしょうか。私は、質問をした人だと思います。皆がはっとするような質問をした人は、話し手でけではなく、聴衆全体に顔と名前を覚えさせられるからです*1。実は、海外の大学の大学院生はこの練習をかなりやっているのではないかと思います*2。彼らにとって、質問は、自分をアピールする絶好の機会のようです。
質問の目的を明確に
質問には色々な目的があります。質問をするときに、目的も明らかにすると親切です。わからないから聞く場合、例えば「先ほどの話を確認したいのですが」や「門外漢なので初歩的な質問ですが」という言葉の後に質問すると分かりやすいです。分かったから聞く場合は、話し手の話題を少し言い換えて、理解内容が話し手の意図に沿っているかを確認するというのがいいと思います。
まとめ 質問の目的は一つではない。「何を」だけじゃなく「なんのために」も重要
今回は、質問の目的について考えてきました。質問には、色々な目的があります。そして、どんな質問でも、話し手や他の聴衆に利益をもたらします。目的を明らかにしながら質問することで、話をもっと面白くすることに積極的に貢献しましょう。