今回は、Rに関する書籍の書評に挑戦してみます。
石田基弘(著)「新米探偵データ分析に挑む」
こちらです。
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この書籍は、ライトノベルとR(正確にはRStudio)を利用した統計解析の解説が一つになっています。
主人公の田中くんは、探偵事務所に入社します。この探偵事務所は、ちょっと変わっていて、商店街のお悩みをデータ解析の結果から考察し、解決策を考えていきます。しかし、田中くんは文系学部出身で、Rどころかデータ解析の経験もありません。そんな田中くんに丁寧にデータ解析やRの利用方法を教えてくれる事務所の社長さんと庶務課課長さん。このレクチャーパートがR言語の解説になっているのです*1。
この本の特徴
他の統計学やRのテキストでは「基本重視」の編集方針が定番ですが、この本は「実践重視」の方針で書かれているようで、以下のような特徴があります。
統計学の概念的な説明は最低限
データ解析は、統計学の知識を利用するのですが、この本では、そのような概念的な解説は必要最低限に抑えられています。つまり、とにかくデータ解析を実践したい人向けです。逆に言うと、統計学入門くらいは履修済みという方向けなのかもしれません。
ベーシックなRではなく、最新の拡張技術を利用
この本では、Rの基本パッケージではなく、RStudioというRを便利に使うためのアプリケーションが最初から導入されています。さらにggplotやdplyrといった最新のパッケージも当たり前に使われています。つまり、初心者だからといって、基本のみを使うのではなく、とにかく実践練習あるのみという方針のようです。(実際、探偵事務所の社長さんの発言でもそういった趣旨のものがあります。)Rの場合、最新のパッケージを使って機能拡張させると、同じアプリケーションとは思えないほどソースコードの見た目が変わります。どうせ後からこの形式を覚えなければならないのなら、早いうちに使える書き方に慣れてしまおうということなのかもしれません。なので、少しだけRをさわったことがある人は、コードの書き方に少し驚くとおもいます。