jnobuyukiのブログ

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統計解析上達のポイント(3)

前回までで、2回ほど統計解析を使いこなすポイントについての私的な考えを述べてきました。最後に、統計解析を学ぶ上でのポイントを2点ほど紹介します。

分からないことは人に聞こう

特に、仮説の検証のために統計解析を利用していると「これでいいのか?」と思うことがよくあります。

そういうときにまず役立つのは、似たような研究を報告している論文です。学会誌の場合、出版された論文は、たいてい審査を受けています。なので、そこで報告されている解析手続きや報告されている指標は、必要十分である可能性が高いといえます(ただし出版されているでも稀に間違っていることがあるので注意しましょう)。ぜひそういった論文を参考にしてみましょう。

それでも分からないときは、ためらわずに、周囲の人(同級生、先輩、指導の先生)に尋ねましょう。 特に、社会科学系の研究で統計解析を利用する場合、その方法が絶対的に正しいかどうかではなく、研究フィールドとしてコンセンサスの取られているかを考える必要があります。そのような実践的な知識は、既に実践している人から聞くのが効率的です。身近な人に聞きにくい場合には、メーリングリストやウェブ掲示板を利用するという手もあります。

テキストは何を選ぶか

たまに「統計解析について分かりやすく書かれた本はありませんか?」と尋ねられることがあります。統計パッケージアプリケーションの使用法に関しては、いろいろな本が出ていて、本屋などで見やすいものを選べばいいと思います。

ただそのような本で、統計の計算方法をステップバイステップで紹介されていることはほとんどありません。そこで計算方法について書かれた書籍を探すことになります。心理学の場合は、何冊か非常に良い本が出版されています。

ただここでお勧めしたいのは、英語で書かれたテキストです。実は、日本語より英語で書かれたものの方が説明が分かりやすい傾向にあります。

なぜ日本語で書かれたテキストは難しいのか?本を読む上での数学的な前提知識をたくさん想定しているためではないかと思います。高校までの教育でどれくらい数学ができるのかを考えた場合、日本人は世界的にレベルが高いように思います。それをふまえてなのか、日本語で書かれた書籍は、計算手続きの概略や原理的な説明が少ないと感じます。その分、複雑な計算手続きは、たっぷりと説明されています。しかし、日本の学生の中でも文系路線をたどってきた(つまり、ある程度、数学の学習を捨ててきた)人が、統計を学ぶにはもう少し初歩的・概念的な説明が必要だと感じます。

英語で書かれた書籍は、数学に不慣れ、または不得手な人を想定読者としているような書き方をする傾向があります。なので、思い切って英語で書かれた解説を丁寧に読んでいくと、最終的な理解が深まることがあります。また、この方法は、統計に関する専門用語の英単語を必然的に覚えるので、英語で書かれた研究論文を読むときにその知識が役立ちます。

まとめ

以上3回にわたって、統計解析を学び、使うためのポイントと思うことを述べてきました。この記事をたまたま見つけた読者の方が、少しでも励まされた気持ちになれば幸いです。