jnobuyukiのブログ

研究していて困ったことやその解決に関するメモ。同じように困ったあなたのために。twitter ID: @j_nobuyuki

Googleドキュメントで変更履歴を残しながら文書を編集

昨日のニュースでGoogleが、Chromebookの日本販売を開始すると聞きました*1

ChromebookはChromeOSを利用しており、PCの中にソフトをインストールするというよりも、クラウド上のウエブアプリケーションをつかうという考え方で設計されています*2。こういう「とがった」設計思想は大好きなので、ぜひ応援したいところです。そして、ぜひ成し遂げてもらいたいことがあり、応援も兼ねて、論文執筆でGoogleドキュメントをどうやって使いたいかをお話します。

研究にChromebookを導入するのが難しい理由

最大の問題は、MSオフィスのシェアが高すぎることです。私は論文を最初に書く際には、MSオフィスではなく、単純なテキストエディタを利用しています。なので、一人で文書作成している段階では、ChromebookからGoogleDrive内のファイルを編集という方法もとれます。しかし、論文は複数の著者で執筆することがしばしばあります。この場合、標準のファイル形式はMSワードです。そこで、いったん書いた下書きを共著者間でシェアするためにワード形式のファイルに変換し、それを共著者に送ります。共著者は、修正履歴を記録する設定をしたうえで、修正し、送り返してくれます。また、それを見ながら再度修正というプロセスが何回か繰り返されます。よってワード形式のファイルを共有するためMSオフィスがないと仕事にならない。つまりMSオフィスのウエブアプリがChromebookで使えなければ、Chromebookを導入できないということになります。
追記:ChromebookでもMSオフィスのウエブアプリケーション使えるようです。
Chromebook での Microsoft Word の利用について - Chromebook ヘルプ

Google Driveで脱MSオフィスできる?

今回、よく調べてみたところ、MSワードでなしで、Googleドキュメントだけでも、同じように論文の修正作業が進められることが分かったので紹介します。
まず著者の誰かがGoogleDrive内でドキュメントファイルを新規作成し、下書きをします。ある程度かけたところで、それを他の著者のアカウントと共有します。GoogleDriveの右上に共有というボタンを押すと共有先を以下のように設定できます。

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下の図は、二つのGoogleアカウントで編集した結果です。二人で同時に編集できるのは便利ですね。修正履歴を残して修正したい場合には、右上のボタンを押して「編集」モードから「提案」モードに変更します(ボタンが緑になります)。これで、直接修正するのではなく、編集内容の「提案」ができます。「閲覧」モードにするとすべての編集を反映させた結果が表示されます。モード設定の近くに「コメント」というボタンもあります。これは、本文を編集せずにコメントのみを挿入するときに使います。

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この図を見てもらえば分かると思いますが、MSワードを利用したときと同じことができています。

MS オフィスユーザーと協働できる?

自分が脱MSオフィスしていたとしても、論文の共著者にもそうしてくださいとはお願いできないことがあります。その場合は、ワードファイルを送って、それを編集して送り返してもらいます。自分がオフィスを持っていなくてもGoogleドキュメントに変換することで、GoogleDrive内で操作できます*3。ここで問題になりそうなのは、修正履歴の情報がGoogleDrive内でどのように表示されるかです。試してみたので、その結果を紹介します。

まずMSワード2013で以下のように文書を作成しました。

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次にこれをGoogleDriveにアップロードします。この時点ではプレビュー画面で、編集済みの内容が表示されました。これをGoogleドキュメントに変換して開いた様子が以下です。

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さらにGoogleドキュメントとしてこれを編集します。「提案」モードなので、文字が色つきです。

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これを.docxフォーマットでエクスポートして、MSワードで見た結果、こうなりました。

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きちんと変更履歴を残したままエクスポートできました。

まとめ:MSオフィスなしでも共著論文かけました。(= Chromebook導入可)

今回試してみた範囲では、共著者のいる論文の執筆にGoogleドキュメントで対応できることが分かりました。ということは、Chromebook導入できますね。Googleさんぜひ上手に宣伝して、MSオフィスの独占状態を打破してください*4

*1:ただし今のところ、企業と教育機関向けのみようで

*2:ウエブアプリはオフラインで動くものもたくさんあるので、インターネットに接続できなければ何もできないわけでは ないと思います。

*3:しかも、このニュース http://japan.cnet.com/news/service/35049970/ によれば、もはやGoogleドキュメントへの変換もいらないようです。

*4:私の研究領域ではほぼ独占状態です。Latexを利用した論文執筆も研究領域によってはよく使われます。